重症患者の栄養管理とリハビリテーション

重症患者の栄養管理とリハビリテーション

 

こんにちは、認定理学療法士(呼吸)&TCS認定コーチの村谷です。

 

今回は急性期の栄養に関しての話です。

 

急性期の栄養管理ってとっても大切ですよね。

 

 

【経腸栄養と静脈栄養】

人間口から食べるのが生理的で最も消化吸収には良いのですが、重症な患者さんだと様々な要因で経口摂食って難しい場合が多いですよね。

 

経口摂取がしばらく困難であり、消化管の使用に問題ない場合は経腸栄養(EN enteral nutrition)が適応になるといわれています。

ただし消化管の完全閉塞や消化管出血、炎症性腸疾患急性増悪期、コントロール不良な下痢など消化管の安静が必要な場合は、完全静脈栄養(TPN  total  parenteral nutrition)で管理します。

 

村谷
「経管栄養と経腸栄養の使い分けってどう評価するのでしょうか。わかりやすい図があったので紹介しますね。」

        大塚製薬工場さんHPより引用  http://www.otsukakj.jp/healthcare/iv/en/

 

 

新人PT
「確かに分かりやすいですね!!」

 

【経腸栄養のメリット】

 

・高エネルギー投与しやすい

・からだの消化吸収能を利用する点で投与経路がより生理的

・腸管の機能を保ち、バクテリアルトランスロケーション発生を抑制する

・コスト的に安価

 

村谷
「ん?バクテリアルトランスケーションって何??」

 

バクテリアルトランスロケーションとは
消化管は消化・吸収が主な働きですが、同時に生体内の最大の免疫器官といわれています。経口摂取された病原体は消化管を介して体内に侵入しようとしますが、それを防御する機構が様々あります。

具体的には

 

  • 胃内にある胃酸
  • 粘膜固有層やバイエル板といった独自の免疫機構
  • 腸管内容物を停滞させないための腸蠕動
  • 絶えず腸管粘膜を刷新すること

 

などが挙げられます。

 

新陳代謝の速い腸管粘膜は腸管内容物から直接栄養を得ており、腸管を使用しないと急速に委縮します。そうなると腸管の防御機構が破綻し、腸内細菌や真菌、エンドトキシンなどが腸管粘膜を超えて体内に侵入します。このような病態をバクテリアルトランスロケーション(BT bacterial translocation)と呼んでいます。

BTを防ぐには腸管機能を正常に保つ必要があり、早期の経腸栄養が重要となります。TPNでの長期管理、腸管内容物の停滞や腸管内圧の上昇、抗がん剤の使用などはBTのリスクを高める因子に挙げられます。

新人PT

「バクテリアルトランスロケーション」
「バクテリアルトランスロケーション」
「バクテリアルトランスロケーション」
噛まずに三回言えましたよ!!

 

ここで文献メモ
経腸栄養の早期投与に関しては、多くの急性期の疾患において死亡率の低下は示されていないものの、感染症合併率の低下や人工呼吸器装着期間の短縮や入院期間の短縮が示されている。

 

村谷
「感染を予防できて、抜管も早まると自然と入院期間も短縮できそうだね!」

 

 

【経腸栄養のデメリット】


新人PT
「経腸栄養メリットが多いですね!欠点はないんですか?」

 

消化器症状(悪心・嘔吐、下痢など)の発生頻度が高く、経鼻ルートでの咽頭部不快感や、細かな組成調整ができないなどの欠点もあります。

 

 

 

ベテラン栄養士の視点
経管栄養時は歯みがきなどの口腔ケアを徹底することが大切です
口を使わない分、だ液の分泌が少なくなるので自浄作用が減り、口の中に細菌が増えやすくなります。すると、口臭の原因になるほか、細菌が増えただ液を誤嚥して肺炎になるリスクが高まります。

 

 

【栄養負荷に関して】

既に長期間低栄養状態が 続いている場合は、急激な栄養負荷(特 にTPN)によりrefeeding syndrome を起こし患者を死に至らしめることがあります。慌てず、緩徐に栄養投与量を増やして いくことがポイントになります。

→長期的な半飢餓状態にある 栄養障害患者に急速な栄養 負荷がなされると、血中のP (リン)が急速に細胞内に取 り込まれ低 P血症を生じます。 発熱、痙攣、意識障害、心不全、呼吸不全などが表れます。 栄養療法開始 4、5日目に発 生することが多く細心の注意が必要です。

 

新人PT
「だから低栄養の方には慎重に栄養負荷を与えていくのかー!勉強になります!」

 

【栄養投与経路の選択】

投与経路としては経胃、経十二指腸、経空腸に分類できる。より生理的に簡便に開始できるのは経胃であるが、高度侵襲下・鎮静下では消化管の蠕動運動の低下により誤嚥のリスクが高くなるといわれています。

 

一方、経十二指腸、経空腸と経管チューブの先端を肛門側に進めていくのは手技が難しく、非生理的な投与方法になるが、誤嚥のリスクは経胃より低くなる傾向がある。ASPEN/SCCMのガイドラインでは誤嚥の危険が高い場合に幽門後方への留置を進めている(GradeC)

 

 

【経腸栄養とリハビリテーションの注意点】

早期リハビリテーションを進める上では、前傾側臥位や腹臥位、端座位・立位・歩行などの離床を進めていく必要がある。ENを行いながら積極的なリハビリテーションを進めていくためには幽門後の小腸栄養(可能なら空腸栄養)が望ましいと言えます。

状態の改善に伴い、経管チューブの先端を浅くしていき、より生理的な投与方法へと切り替えていくのが望ましいでしょう。

 

 

村谷
「経腸栄養の場合、管の先端がどこに留置されているかを確認しておくことは重要ですね。リハビリ中に栄養投与している場合は逆流リスクを考えて早期離床を実践していきましょう。特に経腸栄養投与を開始したばかりの頃は逆流や嘔吐などがないか離床や積極的な体位交換前に看護師さんに確認しましょうね。」

また、循環動態が不安定な事は経腸栄養投与に注意を必要としますが、血管作動薬を使用していること自体は早期経腸栄養投与の禁忌とはならなりません。

 

村谷
「循環動態が不安定な状態で経腸栄養を開始すると消化に血流をとられるので、全身状態に影響が出る場合もありますね。投与速度、投与時の肢位にも注意が必要といえます!」

 

 

 

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