低酸素血症の理解 SpO2 90%ってやばい??

低酸素血症の理解 SpO2 90%ってやばい??

 

 

みなさんこんにちは、「呼吸リハビリテーションの教科書」管理者の村ちゃんです。

臨床では呼吸不全のある方に対して、パルスオキシメーターを使用してバイタルを確認する機会は多いと思います。
パルスオキシメーターは指先に挟むだけで、侵襲も苦痛もなく体内の酸素の具合がわかるのですからすごい器械ですよね。

 

日本呼吸器学会HPより転載

https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=139

 

さて、このパルスオキシメーターですが、表示される値としては
SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)があります。

リハビリテーションで運動している時や臥床状態でも良いのですが
何%になったらよろしくないかわかりますか?

そうです。一般的には90%ですね。

ではCOPDの方はどうでしょうか?

術後の状態の方はどうでしょうか?

感染症で発熱のある方はいかがでしょうか?

心肺停止後に低体温になった方はどうでしょうか?

明確に答えられる方はこの記事をご覧ならなくてOKだと思います。

でも実習生に聞いても答えられない場合が多いので
もしかして臨床にでている医療従事者の方もご存知ない方もいるかもしれません。

でも全然大丈夫です。

そんな時こそぜひこの記事を参考にしていただけたらなと思います。

ではいきましょう!!

 

【外呼吸と内呼吸】

呼吸は
・外呼吸(外気から酸素をとりこみ、二酸化炭素を排出する流れ)
・内呼吸(体内の組織や細胞レベルでの酸素と二酸化炭素のやり取り)
に分かれます。

 

この図をみると酸素運搬には血液の流れが大きく関わっていることがわかります。
では、次に血液中の酸素という観点で酸素運搬の流れを説明していきます。

 

【動脈血酸素分圧と経皮的酸素分圧とは】

PaO2(動脈血酸素分圧)とは、動脈血中にある酸素の量を示しています。

SaO2(経皮的動脈血酸素飽和度)は、パルスオキシメーターで測定可能であり、血液中のヘモグロビンがどのくらいの割合で酸素と結合しているかを示すものです。

100%に近づくほど体内に酸素が巡っていることになります。

 

 

【ヘモグロビンと酸素運搬】

酸素運搬量を算出する式を見たことはありますか?

これです。

酸素運搬量DO2=(1.38×ヘモグロビン×SaO2+PaO2×0.0031)×心拍出量(CO)

この計算式からわかるのは、酸素運搬量の重要因子として

☑ヘモグロビン量
☑SaO2
☑心拍出量
これらの値が酸素運搬能に密接に関わっているということです。

 

 

ここで一口メモ!!

臨床的にはSaO2が95%あるからといって歩行練習を続ける場合がありますよね。

しかし、この時に息切れや呼吸困難感が出て来たら油断はできないということです。

つまり心拍出量が著明に低下している可能性があるのです。

また貧血を伴うような方では言わずもがなですね。
無理をすると急変の可能性もあります。

それぐらい数値に頼らないアセスメントが大切だという事です。
もし以下のような低酸素血症の症状が出ている時には注意してください。

 

<臨床症状でみる低酸素血症>
☑軽度:呼吸困難・心悸亢進
☑中等度:不穏・見当識障害・チアノーゼ・不整脈
☑重度:徐脈・昏睡

 

【酸素解離曲線とは】

 

PaO2とSaO2の関係は直線の比例関係ではなく、S状のカーブを描くのが特徴です。
とくにPaO2が60mmhg、SaO2が90%の部分がポイントです。

呼吸不全の定義はPaO2ga60mmhg以下です。

SaO2が90%を切った危険というのはそういうことなんですね。

このポイントを境に、SaO2が低下するとPaO2が急激に低下することが分かります。

まずはこの標準的な酸素解離曲線を覚えましょう!!

 

 

【呼吸不全はなぜ60mmhgを基準にしているのか?】

呼吸では、空気中の酸素を血液に取り込み、体内で産生された二酸化炭素を血液から呼気に排出します。

通常、動脈という体の各臓器に酸素 と栄養を運ぶ血管の中にある血液には

酸素分圧 100mmHg程度の酸素が存在します。

酸素のほとんどは赤血球という細胞の中にあるヘモグロビンに結合しています。

酸素分圧が 60mmHg未満 になるとこのヘモグロビンに結合することが難しくなるので、十分に酸素を運ぶことができなくなります。

定義上、何らかの原因によって動脈血 中の酸素分圧が 60mmHg未満になる病態全てを呼吸不全と言います。

酸素は生命にとって欠くことができないので、呼吸不全は各組織・臓器に重大な悪影響を及ぼすとされています。

 

 

ここで一口メモ!
離床するときや酸素が足りない状態ではチアノーゼを認めますよね。

ではなぜチアノーゼで口唇(中枢性チアノーゼ)や下肢(末梢性チアノーゼ)の色が変わるのでしょうか?
十分に酸素と結合したヘモグロビンは鮮やかな赤色になりますが、酸素と結合していないヘモグロビン(還元型ヘモグロビン)が5g/dl以上になると血液は静脈血のように色が黒くなります。

その機序でチアノーゼでは口唇や皮膚が赤紫に見えるというわけです。

 

【酸素解離曲線は移動する!?】

標準的な酸素解離曲線は頭に入れておくことにして、生体では条件が変わるとでこの曲線が偏移します。

その条件とは・・・

☆体温(Temp)が上昇、二酸化炭素分圧(CO2)が増加、pHが低下(アシドーシス)した場合は右方偏移

☆逆に、体温(Temp)が低下、二酸化炭素分圧(CO2)が低下、pHが上昇(アルカローシス)した場合は左方偏移となります。

 

わかりやすく見るために、PaO2 60mmHgを見てください。

標準の実線では、SaO2は90%ですが、右方偏移している場合のSaO2は、約80%となっています。
これは、組織への酸素供給を補う必要があると身体が反応し、右方偏移することで血中の酸素飽和度が下がるということです。

逆に、左方偏移している場合のSaO2は、約100%となっています。

これは、組織への酸素供給を減らし、血中の酸素飽和度を上昇させようと身体が反応し、

ヘモグロビンと酸素の結合を強化した結果、左方偏移することで組織への酸素供給を減らすということです。

 

 

【症例紹介】

肺炎で入院後3日目の患者です。酸素はNasalで3L投与されています。WBC、CRPが依然高く、体温は38度以上の状態が続いています。
この症例のように感染症を起こしている、術後発熱している状態など、代謝亢進を伴う場合は組織から二酸化炭素が多く産出され、同時にpHも低下します。

また発熱すると酸素消費量は増加します。

このような場合は、酸素解離曲線は右方移動し、組織への酸素供給量を増加させ、その結果酸素飽和度は低下します。

つまり末梢での組織供給を優先させているので、血液中の酸素とヘモグロビンは離れやすくなっているということです。

つまり、このような状態の場合は例えばPaO2が80mmHgと高めであっても、SaO2は90%と低く示されることがあるということです。

つまり、血中酸素飽和度は少なく(血中の酸素とヘモグロビンの結合量が少なく)、

容易に低酸素血症になりやすいため、不用意に酸素供給を減らさないようにすることが大切ですね。

 

 

ここで一口メモ!!
リハビリテーションでは離床していくことは廃用予防・呼吸機能の改善には有効なことも多いのですが、運動にて筋肉を動かすことはそれだけ酸素消費を亢進させていく事になります。
解剖生理学を把握することにより運動時の適切な酸素投与を医師・看護師と相談していくことは大切なことではないでしょうか?

 

 

【参考文献の数々】

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ABOUTこの記事をかいた人

クライエントの目標達成に全力を尽くすプロコーチ。 モットーは「信頼」。 3姉妹の父親であり、幼い娘たちに翻弄される毎日。 Facbbook、Twitterでの友達申請・フォローお待ちしています!!