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排痰に必要な咳嗽

排痰するときに大切な咳嗽介助

 

こんにちは、TCS認定コーチ&理学療法士の村谷です。

本日は呼吸リハビリの話です。

排痰シリーズの「咳嗽介助」に関してです。

みなさん排痰するときって、咳嗽指導とか咳嗽力を高める運動とか実施していますか?

まずは咳嗽のメカニズムから考えてみましょう。

①咳嗽の相分け

まず、異物を吐き出すのに必要な空気を肺に吸い込みます。これを①吸気相といいます。

次に、声門を閉じ、吸い込んだ空気を肺に溜めます。この吸い込んで溜めをつくることがとても重要です。

 

次に呼気に関係する筋肉を収縮させて閉じ込めた空気に圧力をかけ、気道や肺の内圧を高めます。

これを②圧縮相といいます。風船を膨らませて口を閉じ、外から圧をかける様子を想像してください。

 

エネルギーを爆発させるためのチャージの時間ですね。そしていったんポーズします。

 

最後に、声門を開けます。

すると、圧が高まっているので空気は一気に排出され、気道にあるものも一緒に体外に吐き出されます。

これが③呼気相です。風船の口を開けた時に、勢いよく空気が出るのに似ています。

 

②吸気相での練習

 

吸気相ではとにかく空気をいっぱいいれていきたい所です。

しっかり空気を胸腔内にいれるためできるだけ

胸郭を柔らかく、腹部臓器の圧迫を逃がし

横隔膜を下げた状態で胸郭を広げやすい状態をつくるというポジショニングも大切です。

できれば端座位や立位が良いですね。

特に姿勢による咳嗽力の違いには要注意ということで、面白い文献を紹介しますね。

 

 

文献

【目的】咳嗽を行うにあたって座位が最も有利であることは明らかとなっている。しかし,臥位姿勢で呼吸理学療法を行う必要がある場面は多々存 在する。腹臥位や臥位での体位変化が咳嗽機能 や呼吸様式にどの程度変化を与えるか検討した。

【方法】対象者は 65 歳以上で呼吸器・循環器疾患のない男女 6 名(男 3 名,女 3 名,年齢:73.0±9.0 歳)。ベッド上で背 臥位,半側臥位,側臥位,半腹臥位,腹臥位の 5 つの体位で最大努力咳嗽を行わせて呼気立ち上が り時間,咳嗽時最大流量(PCF)を呼気ガス分析装置を用いて測定した。また,オートスパイロメーターを用いて努力肺活量 (FVC)と呼吸筋力として最大吸気圧(PImax)と最大呼気圧(PEmax)の測定を行った。さらに,Respiratory Inductance Plethysmography を用いて咳嗽時の胸部と腹部の拡張差を同時に計測した。そして,咳嗽時の空気力学的指標として PCF を呼気立ち上 がり時間で除することで咳嗽加速度を算出した。

【結果】咳嗽機能に関して,PCF は側臥位が半腹臥位よりも有意に高い結果を示した。咳嗽加速度は側臥位が半腹臥位,および 腹臥位よりも有意に高い値を示した。また,咳嗽時の胸部拡 張差は背臥位と比較して腹臥位が有意に低かったが,腹部拡張差には各体位間に有意差を認めなかった。その他の項目には有意 差を認めなかった。

【考察】若年男女と同様に側臥位と比較すると半腹臥位や腹臥位で咳嗽機能が低下する傾向が認められた。この理由として若年 者では胸郭運動がベッド面の圧迫により制限されたためであると考えられ,高齢者でも同様の理由が可能性として挙げられる。 臥位姿勢の中では側臥位が最も咳嗽に有利であり,半腹臥位や腹臥 位は比較的不利となる可能性が示唆された。

松本 匠平氏 「高齢者における臥位姿勢の変化が咳嗽および呼吸機能に与える影響」 第50回日本理学療法学術大会(東京) 2015  

 

実際重症な方だと、体位ドレナージをしてからそのまま咳嗽して、痰を喀出するってこともよくありまして。

この文献は臨床的ですよね。つまり臥位における姿勢の違いで咳嗽力に違いがないか調べているわけです。

腹臥位より側臥位の方がよさそうですよね。

 

体位ドレナージといえば、こちらの記事をご参照くださいませ

 

基本的に気管支の走行を知っておく必要がありますし

体位ドレナージを実施するときには排痰だけではなくリラクゼーションも大切ですよと

気管支の走行知ってる?

2017.10.12

体位ドレナージのついでに

2017.10.08

 

あとおススメ記事がコチラの体位ドレナージの実際です。

人工呼吸器装着患者の前傾側臥位の実施方法とポジショニングの注意点

体位ドレナージの実際 前傾側臥位のポジショニング

2017.10.20

体位ドレナージの実際 前傾側臥位編

2017.10.15

 

人工呼吸器装着患者の腹臥位の実施方法とポジショニングの注意点

体位ドレナージの実際 腹臥位のポジショニング

2017.10.21

体位ドレナージの実際 腹臥位編

2017.10.21

実際の吸気の練習では

・硬くなった胸郭を徒手的にリリースし、柔軟性を持たせた状態をつくる

・セルフストレッチ・シルベスター法

・下肺野に空気を入れる(背中側を膨らます)意識で

など

 

③圧縮相での練習

声門閉鎖筋を鍛えるには

プッシュ&プルにて等尺性運動とともに「エイッ」と声を出すこと

 

 

あとはプッシュアップ動作に合わせて行う方法も

息こらえ運動になりますので、血圧の上昇や心負荷などには中止してください。

軽労作で息切れをおこすような方はけっこうしんどいです。

 

ペットボトルブローイング(呼吸訓練)

 

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また、ペットボトルブローイングも効果があります。
図のようにペットボトルにストローをさし水を入れてぶくぶくと息を吐きます。
この時ペットボトルのふたの閉め方を調節することでブクブク泡を出す呼気の力を調整できます。
誤って水を吸い込まないように注意してください。

引用:エルメッド エーザイ株式会社HP http://www.emec.co.jp/swallow/

 

④呼気相の練習

呼気相ではエネルギーを爆発させて爆速の呼気流速を得たい所です。

そのため咳嗽する力が必要になってきます。

臨床的には呼気相が明らかに弱そうなときなどは

上腹部(腹直筋上部)を咳にあわせて徒手的に介助します。

こちらは咳嗽時の徒手介助に関しての記事です。

文献

【目的】
慢性期頸髄損傷患者の多くは呼吸筋の麻痺により自力咳嗽のみでは分泌物が気道内から除去出来ない場合があり、この際、当院では一つの方法として呼気介助即ち咳嗽介助を徒手圧迫にて施行している。また、この徒手咳嗽介助の介助部位は胸郭と上腹部の2種類あるがどちらを選択するか明確な基準もなくまたその相違も比較検討されてはいない。そこで、今回はこの相違をPeak Cough Flow値(PCF値)を測定しその結果から上記2種類の比較検討を行う。
【方法】
対象は慢性期頸髄損傷患者10名:発症後経過月数の平均は151.8±96.8ヶ月。気管切開等の既往なく深呼吸位がとれかつ声門を閉じてから1回で息(咳)を吐ききれることを条件とした。PCF値の測定をミニ・ライトピークフローメーター(clement clarke international社製)にマウスピースを接続して行った。それぞれ仰臥位にて肺活量位から1.自力咳嗽2.徒手胸郭圧迫咳嗽3.徒手上腹部圧迫咳嗽を各々3回行い最大値を採用した。
【結果】
PCF値はそれぞれ平均値が1.自力咳嗽193±105.1 L/min 2.徒手胸郭圧迫咳嗽260±78.9 L/min 3.徒手上腹部圧迫咳嗽 318±91.3 L/minであり1.2.3.におけるPCF値の差は有意であった。(p<0.05)
【考察】
咳嗽は1.誘発2.吸気3.圧縮4.(爆発的な)呼気の4相に分けられるが、咳嗽介助は3.圧縮~4.(爆発的な)呼気の2相を介助するものである。また、PCF値は160L/min以下では日常的な排痰がうまく行えず 270L/min以下では風邪や肺炎の時の粘り痰を喀出出来ないとされる。今回の測定結果では徒手上腹部圧迫咳嗽によるPCF値は自力咳嗽や徒手胸郭圧迫咳嗽によるPCF値と有意差を示し、上記の粘り痰を喀出出来ないとされる値よりも平均値で上回っていた。これはさらに、慢性期頸髄損傷患者にしばしば特化する胸郭のmobilityの低下、即ち、tightな胸郭を押すよりは、flexibleな上腹部の圧迫のほうがより腹腔内圧の上昇が得られ易くなりこれも影響を与える一因ではないかと考える。

住吉司氏 「慢性期頸髄損傷患者における咳嗽介助法の比較検討」30回関東甲信越ブロック理学療法士学会 2011 

私もよく胸郭を介助するより上腹部を徒手介助するほうが強い咳嗽をしやすい印象はあります。

あと、洗面台まで歩ける方は離床もかねて、洗面台にてガーグリング(うがい)を併用して

排痰を実施してみてください☆

おススメです!

 

本日は長くなりましたが、最後までお読みいただきましてありがとうございました!

 

 

玉木さんのこちらの本もメチャクチャわかりやすいです☆

 

こちらも呼吸介助に関して、勉強になります☆

トラストコーチングスクール ベーシック講座
トラストコーチングスクール アドバンス講座

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ABOUTこの記事をかいた人

コーチングを学ぶ理学療法士。 ICUでの呼吸理学療法が大好物。 「シェアリハビリ」でリハビリの知識・技術・マインドをフリーシェアしていきます。 興味がある方はお気軽に連絡してくださいね☆ Facbbook、Twitterでの友達申請・フォローお待ちしています!!